英単語 “address” には「住所」以外にも意味があり、名詞だけでなく動詞としても使われます。

問題に「対処する」の意味で使うこともあるよ。

意識や注意を「向ける」とか「集中する」っていう意味もあるんだよね?

何が何だか・・・
混乱するのもムリはありません。
この記事では、
「住所」以外の意味にフォーカスして、
海外ドラマ・映画からセリフを引用しました。

もちろん、映画やドラマでも
「住所」の意味で使われることが
圧倒的に多いんですけどね。
TOEICにも頻出する超重要多義語 “address”
「住所」以外の意味・用法を攻略してしまいましょう。

海外ドラマ・映画大好き&映画館もたまに。TOEICスコア845。英語学習のアイデア、教材を紹介しています。
“address”の意味① 話しかける・演説する

基本的な例文を挙げると、

The teacher addressed his students.
(先生が生徒に話しかけました)

The mayor addressed people at the city hall.
(市役所で市長が人々に演説しました)
などです。
映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

戦闘経験がない広報担当の将校が無理やり戦場に送り込まれ、死ぬたびにタイムリープして戦闘前に戻り、同じ戦場へ赴くハメになるSFアクション。
エイリアンの血を浴びたせいでタイムリープ体質になってしまう将校ウィリアム・ケイジをトム・クルーズが演じています。
戦場へ行きたくないケイジは脱走を試みますが、テーザーガンで気絶させられ、貨物といっしょに戦地へ送られてしまいます。
目を覚ましたケイジが最初に交わす会話から引用。

タイムリープして毎回戻るのがこの場面。
“On your feet maggot!”
“That is no way to address an officer, sergeant.”(日本語字幕)
軍曹「立て ウジ虫!」
ケイジ「将校に向かって何だ」映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
“That is no way to ~” は、相手に対して
「そのやり方はよくない」
「そんなひどいやり方はない」
と言いたい時に使うフレーズなので、
直訳すると、
ケイジ「将校に対して話しかけるのに、そんな言い方はありえないぞ、軍曹」
となります。
映画『ヒアアフター』

死者と交信できる霊能力を持つジョージ・ロネガンを、マット・デイモンが演じています。
一時期ジョージは能力を売り物にして大儲けしましたが、死者と話すだけの人生に嫌気がさし、すべてを捨てて街の片隅でひっそりと暮らしています。
チャールズ・ディケンズの小説の朗読を聞くのが日課で、引用はその一節から。
“It addressed me like a strain of sorrow music.”
(日本語字幕)
「僕の中で悲しみの旋律が響き渡る」映画『ヒアアフター』
料理教室で知り合った女性と良い雰囲気でしたが、霊能力のことを知られ、せがまれて使った結果女性が去ることに。
上の引用は、女性と別れた夜にジョージが聞いていた朗読の一節です。
“strain” は「病原菌」や「緊張」などいろいろな意味がありますが、
ここでは「 ( 曲の ) 旋律」の意味で使われています。
なので、直訳すると
「悲しい音楽の旋律のように、それが僕に語りかける」
でしょうか。
映画『ホワイトハウス・ダウン』

テロリストに占拠されたホワイトハウスで、大統領と警察官がタッグを組んで戦うアクション。
シークレットサービスの面接で不採用となり、議会警察官をしている主人公ジョン・ケイルをチャニング・テイタムが演じています。
大統領ジェームズ・ソイヤー役にジェイミー・フォックス。

ケイルは、娘には大統領を警護していると嘘をついています。
物語の終盤、ホワイトハウス奪還に成功した主人公が、大統領権限代行のラフェルソンと話す場面。
“Where’s the president?”
“He didn’t make it, sir.”
“I need to address the nation.”(日本語字幕)
ラフェルソン「大統領は?」
ケイル「ダメでした」
ラフェルソン「国民に知らせなくては」映画『ホワイトハウス・ダウン』
ここで “address” は「宣言する」の意味で使われています。
“nation” は「(全体としての)国民」のこと。
“didn’t make it.” は「死んだ」ことを伝える時によく使われる言い回しです。
映画『12モンキーズ』※名詞「演説・スピーチ」

致死性のウィルスが蔓延し、人類が地下で逼塞して暮らす近未来。
パンデミックの原因と思われるテロ集団「12(トゥエルヴ)モンキーズ」の手がかりを発見したジェイムズ・コール(ブルース・ウィリス)は、さらなる調査のため過去へと送られることに。
最初のタイムトラベルで警官に未来の話をしたため、コールは身元不明の精神病患者として閉鎖病棟に閉じ込められてしまいます。
同室だったジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)は「12モンキーズ」のリーダー。
未来のパンデミックは確定していますが、12モンキーズがバラ撒くウィルスの正体が分かれば未来で対処法を考える重要な手がかりになるかも・・・。
二度目のタイムトラベルで、コールは退院したジェフリーの自宅を訪ねます。
“This is ridiculous. My father is giving a major address.”
(日本語字幕)
ジェフリー「一体 誰だ? 父のスピーチの最中だというのに!」映画『12モンキーズ』
ジェフリーの父であるゴインズ博士は細菌学の世界的権威。この日は各界の名士を招いてパーティを開いていました。
ここで
“address” は名詞として「演説・スピーチ」の意味で使われています。

コールの来訪を知るまで居眠りしてるんですけどね。
“address”の意味② ~に対処する

まず基本的な例文から、

You have to address the problem.
(その問題に対処しないといけませんよ)

We need to address the issue of rising living expenses.
(生計費上昇の課題に対処する必要があるわ)
映画『エージェント・マロリー』

マロリーはお金で依頼を受けてミッションを遂行するフリーランスの工作員。
あるミッション以降、誰も信用できない状況で孤独な戦いを強いられることになります。
主人公マロリーを演じるジーナ・カラーノは日本ではあまり名前を知られていません。

ですが、共演陣がとにかく豪華!
マロリーら工作員を手配する民間軍事会社の経営者ケネスに『スターウォーズ』シリーズで若き日のオビワン・ケノービを演じたユアン・マクレガー。
マロリー同様工作員で、冒頭からダイナーで暴れるアーロン役に前出の『ホワイトハウス・ダウン』に主演したチャニング・テイタム。
あるミッションで夫婦を装い、妻役のマロリーを殺しにかかる旦那役ポールを『X-MEN』シリーズでマグニートーを演じたマイケル・ファスベンダー。
引用はケネスが政府関係者とミッションについてやり取りする場面から。

この政府関係者も贅沢な配役で、
米政府側をマイケル・ダグラス、
スペイン政府側にアントニオ・バンデラス!
“Yeah, we need to adjust the overall payment in order that we can address things like hazard bumps.”
(日本語字幕)
ケネス「危険を伴う任務には増額が必要となります」映画『エージェント・マロリー』
ここで “address” は、危険に「対処する」の意味で使われています。
また “hazard bumps” はそのままだと「危険な隆起」となりますが、ここでは「想定外の危険な状況」といった意味と思われます。
ドラマ『ホームカミング』

PTSDを発症した若い兵士を治療する施設〈ホームカミング〉で行われた極秘の実験。その真相を探るサスペンスドラマ。かつて〈ホームカミング〉に勤務していた女医ハイディを名優ジュリア・ロバーツが演じています。
〈ホームカミング〉で治療を受けていた患者の一人が施設内で暴力沙汰を起こした件を、ハイディが上司のコリンに電話で報告します。
ハイディは大した問題ではないと言いますが、コリンはそれでは困ると反論。
“There’s some stuff we need to, uh, address here.”
(日本語字幕)
コリン「手を打たなくては」ドラマ『ホームカミング』
シーズン1第2話
“stuff” は文脈によって様々な意味を持つ語で、上の引用文なら “some stuff” を “something” に置き換えてもよいでしょう。
また、この場面では “problem” や “issue” と同様「問題」と訳してもOKです。

コリンが焦っているのは、
実験の成果にケチがついて
ビジネスに影響するのを
恐れているからなんですね。
ドラマ『ザ・ボーイズ』

表向きはアメリカの平和を守るスーパーヒーローのチームで、裏では悪行三昧の「セブン」と対抗する「ザ・ボーイズ」の戦いを描く人気ドラマシリーズ。
シーズン3では「セブン」の前身であるヒーローチーム「ペイバック」の全貌が回想されます。
1984年。ニカラグアで親ソビエト政権と戦うコントラを支援した「チャーリー作戦」で、ヴォート社は「ペイバック」を戦地へ送り込みます。
当時、現地でCIAの非合法な資金調達を指揮していたグレース・マロリーは「ペイバック」の傍若無人な振る舞いに危機感を抱き、ヴォート社から来た責任者スタン・エドガーに苦情を言います。
マロリーに対してスタン・エドガーが言ったのが、
“I’m sure Director Casey will address any concern you may have.”
(日本語字幕)
スタン・エドガー「不満はケイシー長官が聞く」ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン3第3話
“concern” は、ここでは「懸念」が適当でしょうか。
直訳すると、
「あなたのいかなる懸念にもケイシー長官が対応してくださると、私は確信しています」
となります。
ウィリアム・J・ケイシー ・・・ レーガン政権でCIA長官を務めた人物。
映画『ヒアアフター』

休暇中の旅行先で津波に襲われかろうじて一命をとりとめた著名なフランス人ニュースキャスター。
「死」を経験した彼女は、仕事中にも霊的な幻視を体験するようになり、キャスターの仕事を続けることができなくなります。
彼女は休暇を取り、かねてから計画していた本の執筆にとりかかることに。
本の内容は、10年前に死去したミッテラン大統領のスキャンダルを掘り下げるというもの。
出版社との打ち合わせから引用します。
❇会話はフランス語で交わされ、英語の字幕が表示されます。
“These stories were never really addressed. They’ve all been buried.”
(日本語字幕)
「真相は すべて闇の中」映画『ヒアアフター』
日本語字幕では “addressed” を含む一文が省略されています。
訳すと
「それらの問題は真剣に取り上げられたことが一度もなかった」
となります。
ドラマ『ザ・フロム』

アメリカのどこにいても迷い込む可能性があり、一度入ったら二度と出ることができない場所。夜になると人間の姿をした怪物が徘徊し、魔除けのある屋内にいないと怪物に惨殺されてしまいます。
新しい住人は、町に住むかコロニー・ハウスに住むかを自分で選択し、住人全員が集まり見守る前で決めるルール。
住人たちが揃ったところで、保安官のボイドが切り出します。
“Since we’re all gathered here,
figure I might as well address the elephant in the room.”(日本語字幕)
「全員が集まった この機会に
例の件について話したい」ドラマ『フロム』シーズン1第3話
“address the elephant in the room” は比喩表現です。

部屋の中に象がいたら、誰でも気が付くけれど、どうすることもできないわよね?
誰の目にも明らかだけれども、誰もが触れたがらない問題の喩えが “the elephant in the room” というわけです。
また、“figure I might as well ~” は「せっかくだから~してしまおう」と、この機会にやってしまおう、と決意を表明したいときの言い回し。
保安官のボイドが “the elephant in the room” に喩えた「例の件」とは?
ちょっと長くなるので興味のある方は下記から別記事を参照してください。
関連記事:used to の意味/海外ドラマ・映画からすぐに使える引用22選!
“address” その他の意味

ここまで映画・ドラマからの引用で紹介してきましたが、ほかにも “address” の意味・用法はいくつかあります。
引用できるタイトルが見つからなかったので、ここではそれぞれ例文を紹介しておきます。

良い引用が見つかったら、随時更新して追加で紹介しますんで!
address oneself to ~「~に集中する」「~に専念する」

She addressed herself to the task.
(彼女はそのタスクに専念しました)
自分自身を to ~に「まっすぐ向ける」という、 “address” の基本イメージそのままの用法。
address ~ as …「~を…と呼ぶ」

She is addressed as Dr.Misaki around here.
(彼女はこのあたりではドクター・ミサキと呼ばれているの)

You should address the judge as Your Honor in the court.
(法廷では判事のことを Your Honor と呼ばないとダメだよ)
敬称で呼んだり、正式な名称で呼ぶことを推奨するときに使われる言い回しです。
引用した映画・ドラマを視聴できるVODサービス

この記事で引用したドラマ・映画を視聴できるサービスは下記を参考にしてください。
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』・・・Amazonプライム
『ヒアアフター』・・・U-NEXT
『ホワイトハウス・ダウン』・・・Amazonプライム、U-NEXT
『ホームカミング』・・・Amazonプライム
『エージェント・マロリー』・・・Amazonプライム、U-NEXT
『ザ・ボーイズ』・・・Amazonプライム
『12モンキーズ』・・・U-NEXT
『フロム』・・・U-NEXT
動詞で「話しかける」や「演説する」
名詞で「スピーチ」「演説」の意味があるのよ。